相続・遺言のキホン

《遺言》そもそも遺言って何?

遺言とは、


私有財産制度の下、

「所有財産の処分の自由(人生最後の意思表示)」を遺言者の死後にまで認める制度


・円満な相続争いのない相続を実現するために用意する。
・財産を整理して、その承継者を決め、その意思表示をする。
・満15歳に達した者は遺言をすることができる。
…民法961条


対策①

自分の持ち物の処分は、自分で処分できるのが当り前だが、死んだ後は自分の意思を表示できないので、法律の定める<要件>を備えている遺言書ならば、故人の意思として認められるというものである。 

⇒<要件>通りに作成しないと認められないので、司法書士や行政書士のアドバイスを受けて、「公正証書遺言」がおすすめ。


対策②

交通事故、心臓病や脳疾患などの突然死、痴呆など、自分の意思を表示できないままこの世を去ってしまうのではなく、今のうちに準備しておきましょう。  

⇒誰しも明日どうなるかわからないので遺言書を作成するチャンスは「今」しかない。

2017年12月22日

《遺言》自筆と公正証書の違い

 

 

 

■使われない秘密証書遺言


上記の「公正証書遺言」「自筆証書遺言」の他に「秘密証書遺言」がある。


遺言者が遺言書に署名・押印のうえ、封紙に公証人の公証を受ける遺言で、公正証書遺言と自筆遺言の中間的位置づけの遺言書だが、あまり利点がないので利用されることは少ない。


■公正証書遺言がおすすめ


作成時に法律の専門家が関わるので、無効になるケースは少なくアドバイスも貰える。また、公証役場が預かるので改ざん、紛失の心配がないのが利点。


残された相続人にとっては、公正証書であるため家庭裁判所の検認が不要で速やかに相続手続きに入れることになり、大変助かり感謝される。

 

2017年12月22日

《遺言》なぜ遺言が必要か?

 

遺言は、

最後の自分の意思を残される人々へ伝える手段です。


自分の意思とは、

「財産分け」

「妻や子の生活安定」

「家族、親戚の円満な関係」

「家族同然のペットの世話」

だったり、人それぞれです。


遺言に示された意思すべてが、その通りにならないかもしれないけれど、遺言通りに実行されなければならないと定められる事柄も多く、そうした事柄では遺言書は絶対的な力を持ちます。


自分の亡きあとに起こるであろう問題を未然に防ぐことも可能、

また、一日も早く元の日常を取り戻してもらうためにも速やかな相続を可能とするのが遺言書である。


ただし、大きな力を持つ遺言書は、法律で要件が厳格に決められているので、十分に注意が必要である。

 

2017年12月22日

《遺言》遺言が必要な人とは?

 

■遺言書を残さないと問題になりそうなケース

遺言書が無い場合は、法定相続分で遺産分割することになるので、

以下の場合は残された者で争いや問題が起こる可能性があるので注意が必要。

出来るだけ遺言書を残すべきであるし、遺言書を書いてもらうように頼む必要がある。

 

■遺言書を残した方が良い人の代表例


「子供がいない」 妻(夫)だけに遺産を残したい


「相続させたくない人」が相続人にいる


「先妻の子」と「後妻」がいる


「先妻の子」と「後妻の子」がいる


「おひとり様」 ※相続させる人がいない、または疎遠になっている


「事業」をして「自社株」を保有している


「寄付」をする


「障がい・ハンディキャップがある子」がいる


「LGBT」同棲してるが結婚してない


「分割しにくい財産」がある ※不動産や動産など


相続人以外の人へ「遺贈」をしたい ※趣味の友など


特にお世話になった人に報いたい ※長男の嫁や甥や姪や友人


借金など「負の財産」がある


遺産相続の「分割を一定期間禁止」させたい


「認知をしてない子」がいる


「ペット」のために何かしたい


事実婚の妻・子に遺産を渡したい


家業を子の1人だけに継がせる


等々

 

 

2017年12月22日

【相続】相続の流れ

 

 

■対策


できるだけ早く日常生活へ戻りたいところですが、期限が決まっている手続きがあるので、書類の収集・記載や話し合いなどのスケジュール管理が大事になってきます。

相続人が高齢者であったり、子育て中などの場合は身体的、時間的、金銭的に余裕がないケースが多く、極力、無駄をせず省エネで行いたい、相続の専門家などに頼んで代行できるところはやってもらうなどした方が良い。

 

2017年12月22日

【相続】相続人の範囲と順位

 

 

■対策

相続人がハッキリしていれば、あとは何をどう分けるかを考えれば良いが・・

相続人を確定するのが困難な場合もある。

 ・連絡がつかない行方不明の者がいるケース

 ・相続人が誰もいないケース

 ・身内とは音信不通のケース

 ・海外にいて日本に帰ってこないケース

 ・隠し子がいるケース

 ・内縁関係の人間がいるケース

 など複雑な場合がある。

出来れば、被相続人があらかじめ相続人を調べて連絡先等を把握しておくべきである。

 

 

 

2017年12月22日

【相続】法定相続分って何?

 

 

  相続人 法定相続分
第1順位 配偶者
1/2
1/2
第2順位 配偶者
直系尊属(親・祖父母)
2/3
1/3
第3順位 配偶者
兄弟姉妹
3/4
1/4

 

※内縁の夫・妻は相続人ではない                           夫・妻の子は相続人ではない

 

 

2017年12月22日

【相続】全員で遺産分割協議


■遺産分割協議


遺産分割協議には、相続人全員が参加する必要があります。


相続人の中に、「不在者」「未成年者」「成年被後見人」等がいる場合は、不在者の財産管理人や代理人が出席します。


公平を保つために「特別受益」や「寄与分」を考慮する。ただし、遺産分割協議はあくまで話し合いなので、話し合いが調えば「特別受益」や「寄与分」は考慮しても良いし、考慮せず分割しても良い。


■対策


揉めそうな場合、影響力がある人が議論を掻き回す事が予想される場合はしっかりと遺言書を残しておきましょう!


公正証書遺言を残して遺言執行者を指定しておけば、相続人が勝手に相続配分できず、故人の遺言を実行してくれます。

 

 

 

2017年12月22日

【相続】3ヵ月以内に相続放棄


■借金が多いと判明すれば3ヵ月以内に「相続放棄」


「相続放棄」
プラスの財産よりマイナスの財産(借金)の方が多い場合は、相続そのものを放棄することができる制度。


この制度を利用しないと、原則、全てのプラス、マイナス財産を相続人で引き継ぐことになる。

よって、相続で多額の借金を背負うケースも出てくる。


家を建てた時に銀行から借り入れをして、まだローンが残っている場合には、その家を相続する人が銀行のローンも引き継ぐのが通常である。


相続放棄をする場合は、家庭裁判所に申し立てをすることになる。

「3ヵ月以内」という期間が決まっているので準備と注意が必要です。

 

 

 

 

2017年12月22日

【相続】財産不明時は限定承認


■3ヵ月以内に「限定承認」


「限定承認」

プラス財産とマイナス財産のどちらが多いが不明な場合は、家庭裁判所へ「限定承認」の申立てをする。

プラス財産の範囲内で借金等を返済すれば良いことになる。


ただし、相続人全員の一致した意思で限定承認する必要があり、一人でも反対すると出来ない。

 


■対策

借金がわからず後で大変な額の返済を迫られるケースもある。


預金残高や土地の権利書などはすぐに分かるが、借金は分からないケースが多い。

借用書を金庫などに入れていることが少ない。

だから、借用書や督促状、請求書などを、机の引き出しや本棚などあらゆる場所を探す必要がある。

3ヵ月以内に家庭裁判所へ申立てをしなければならないが、悪意の業者だと3ヵ月間、沈黙して、3か月後に督促してくるケースもあるので注意!

 

 

 

 

2017年12月22日

【相続】相続トラブルの典型例


■相続トラブル増加中


死亡者の増加に伴い相続トラブルも増加傾向である。
争いにならなくても、相続人の間で感情のしこりを残して、幕引きすることも多い。


相続人に関するトラブル例


・相続人の中に連絡がつかない者がいる
・相続人に胎児がいる
・相続人の中に未成年者がいる時の代理人
・籍を入れてない内縁の夫・妻がいる
・親族も知らない人と再婚や養子縁組していた

 


遺産分割に関するトラブル例


・「家」以外に分けられる財産がない
・本来あるべき財産がなかった
・3ヵ月過ぎてから督促状がきて借金を把握した
・故人のために色々世話をしたのに寄与分がない
・先祖代々の畑や山を一人の後継者に継がせたい

 


遺言書に関するトラブル例


・遺留分を無視した遺言書が見つかった
・遺言書に不備があり効力が疑義がある
・遺言書に書いてない財産がみつかった

 


その他のトラブル例


・死亡保険金があまりに多額である
・家業の自社株が相続財産になる
・音信不通の相続人が相続分を第三者へ譲渡してしまった
・先妻と後妻ともに子供がいる時

 


まとめ


ここに挙げたのは代表例だが、相続ごとに色々と問題点は出てくる。民法の規定で解決できるものと、話し合いで解決しなければならないものなど、問題の切り分けをして遺恨を残さないカタチで相続を完了させたいものである。

 

 

 

2017年12月22日